コーラ白書
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 どれだけメールやSNSが発達しても、年の初めに年賀状をもらうと嬉しいものだ。暖かい部屋でミカンを食べながら古い友人や恩師の近況や抱負一枚ずつ目を通していると、新しい一年がはじまる実感がわいてくる。最近は友人から子供の写真を載せた年賀状をもらうことが増え、ディズニーや妖怪的なデザインのものも珍しくなくなった。そんな中、大学の友人Hからの年賀状がひときわ異彩を放っていた。

コカ・コーラ ハッピーギフト年賀状。

2014年コカ・コーラのウィンターキャンペーンの目玉というべきこの年賀状、受取人に「コカ・コーラ」または「コカ・コーラゼロ」をプレゼントできるという斬新な企画なのだ。コーラが一緒に送られてくるわけではなく、年賀状を自販機にかざすとコーラが受け取れるという仕組み。全国50か所の郵便局で限定販売されたレアものだ。

年賀状のデザインは5種類。どれも人のシルエットがコカ・コーラのコンツールボトルを描くという、粋なグラフィックだ。下部分の小さなボトルの下にICチップが埋め込まれていて、この部分をマルチマネー対応自販機で読み取って商品を提供する仕組みのようだ 【参照:コカ・コーラ ハッピーギフト年賀状サイト

実は以前からとても気になってはいたのだが、さすがに自分に年賀状送るのもどうかなーと思い傍観していたのだった。ありがとうH!

最新の自販機が可能にした新しいマーケティング手法とあっては、否が応にもテンションが上がる。今年の初コーラはこいつでゲットだ!妙なテンション冷めやらぬまま年賀状を握りしめて、人気もまばらな元日の町へと繰り出した。

 


 

暫く駅前をうろうろしてみたのだが、このマルチマネー対応自販機というやつが見つからない。いろんなところで見かけたような気がしたけど、探してみると意外と旧型ばかりなのだ。今年は元日から急に冷え込みが厳しくなり、この日は正月には珍しく雪がチラついていた。寒い。何かヒントがないかとコカ・コーラのサイトを調べてみると、各都道府県の対象自販機台数のページに行き着いた。

・・・OK、うちの市に205台あることは分かった。でも所在地はノーヒントだ。うち政令指定都市だし、結構広いよ?

ようやく冷静になってきた脳のシナプスが繋がり、新型自販機があったかもしれない場所を思い出した。たしか駅のホームの中で見たような気がする。入場に150円払わなければいけないのが辛いところだが、自販機の500mlコカ・コーラは160円のはず。まだ10円勝ってる。(何が?)

寒風吹きすさぶホームの片隅に、確かに新型自販機はあった。普段ICでモノ買わないので気にしていなかったが、確かに非接触型リーダがついている。正月早々冴えてるぞ俺。

ついにIC自販機デビューか、と意気込んで年賀状をリーダに近づけてみた。

あれ、認識されない・・・

なんで?近づける速度の問題?場所が悪い?いろいろ試して近づけたり離したりすると、確かに何かしら反応はしている様子。しかし暫くすると「ご利用できません」という非情なメッセージが。この日の気温は4℃、遮蔽物がなく寒風が吹き抜けるホームの体感温度はマイナスだ。年賀状を持つ手がかじかむ。

10分ほどトライしてみたが、うまくいく気配はない。仕方なく1日から受け付けをしているというお問い合わせ事務局に電話をしてみた。元日勤務の担当者には申し訳ないと思いつつ、現状を伝えて対応を請う。

本来は年賀状を近づけると金額部に表示され、コカ・コーラを購入できるという。しかし言われたとおりにやってみても何も起こらない。自動販売機の型番を調べてもらったが、対応しているはずだという。他のマルチマネー対応自販機は隣駅までいかないといけないらしい。

色々やり取りをしているうちに、雪まじりの風がどんどん強くなる。年賀状を持つ指先の感覚がなくなり、耳がちぎれそうに痛い。時折急行が強烈な列車風とともに通り過ぎる。これ以上自販機の前で話し続けるのは無理だ。パトラッシュ、もう疲れたよ・・

とりあえず今日のところはあきらめる旨を伝えると、担当者は申し訳なさそうに「代わりにコカ・コーラを直接お送りしましょうか」と提案してくれた。もちろん友人からもらった年賀状で初コーラをゲットしたい気持ちはあった。しかし認識されない原因がわからず、何よりあまりの寒さに心が折れてしまった私はお言葉に甘えることにした。

自販機の側面に避難して電話口で必要な情報を伝える。興味深いのは年賀状のお年玉番号を聞かれた点。どうやらこの番号をキャンペーンのIDとして使用しているようで、中々スマートなアイデアだと思った。

すべて手続きが終わったのは、駅について20分後のことだった。寒さに耐えきれずあたたかい「ジョージア まろやかミルクのホットなカフェラテ」を購入。カイロ代わり指を温めながら帰途についた。

 


 

日本コカ・コーラからの荷物が我が家に届いたのはそれから一週間後の事だった。箱の中には丁寧に梱包された500mlのコカ・コーラが1本とお手紙が一枚。元旦から窓口を開けたコカ・コーラとオペレーターの素晴らしい対応で、なんとか松の内に新年初コーラを頂くことができた。

今回は結果として当方290円(入場券+ジョージア代)、コカ・コーラ社は送料+オペレーターの時間+電話代を負担する「痛み分け」となってしまったが、この年賀状と自販機を使用したキャンペーンはとても面白い試みだと思う。一年に一度つながる正月にコーラを贈り、そして古い友人に思いを馳せながらコーラを飲む。新しい技術とインフラが実現させた、実に心に響く企画ではないか。

Thanks a lot!

コーラを愛する皆様に幸せが訪れますように。